エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
夕食前の立ち聞きをあくまでもしていないふうにして伝えると、父はうなずく。
「……真佳奈、まさか月城くんを好きになったり――」
「に、人間的に好きよ。男気があって頭の回転も速くて素晴らしい人よ」
「そうだよな。実は彼には縁談があったんだよ。しばらく経ったら、離婚手続きをしてその女性と結婚するはずだ」
先ほど立ち聞きしていたから今驚かずに済むが、平然としているのも不自然だった。
「やっぱり月城さんに悪いことをしたのね……」
「真佳奈も私など気にせずに、結婚してもいいと思える男性ができたらそうしなさい。じゃあ、ゆっくりおやすみ」
膝の上に置いた私の手の甲を父はポンポンと叩いて立ち上がった。
土日は父も月城さんも仕事で忙しく不在だった。私はといえば、ハーキム氏があきらめて自由に動けるようになったが、出かける気にもなれなかった。
月曜日の朝、朝食を食べ終わり、バッグと車の鍵を手にして玄関へ向かう。
「おい、さっさと行くな」
「え?」
振り返ると、紺のサマースーツを着た月城さんが立っていた。朝食後、電話がかかってきていたので、仕事があるのだろうと思っていたけど。
「俺が送迎することになっているだろ」
「でも、もう……」
月城さんは私が手に持った車の鍵を取り上げて先にドアから出ていく。
ハイヒールを履いて彼の後を追うと、助手席の横で待っていてドアを開ける。
「……真佳奈、まさか月城くんを好きになったり――」
「に、人間的に好きよ。男気があって頭の回転も速くて素晴らしい人よ」
「そうだよな。実は彼には縁談があったんだよ。しばらく経ったら、離婚手続きをしてその女性と結婚するはずだ」
先ほど立ち聞きしていたから今驚かずに済むが、平然としているのも不自然だった。
「やっぱり月城さんに悪いことをしたのね……」
「真佳奈も私など気にせずに、結婚してもいいと思える男性ができたらそうしなさい。じゃあ、ゆっくりおやすみ」
膝の上に置いた私の手の甲を父はポンポンと叩いて立ち上がった。
土日は父も月城さんも仕事で忙しく不在だった。私はといえば、ハーキム氏があきらめて自由に動けるようになったが、出かける気にもなれなかった。
月曜日の朝、朝食を食べ終わり、バッグと車の鍵を手にして玄関へ向かう。
「おい、さっさと行くな」
「え?」
振り返ると、紺のサマースーツを着た月城さんが立っていた。朝食後、電話がかかってきていたので、仕事があるのだろうと思っていたけど。
「俺が送迎することになっているだろ」
「でも、もう……」
月城さんは私が手に持った車の鍵を取り上げて先にドアから出ていく。
ハイヒールを履いて彼の後を追うと、助手席の横で待っていてドアを開ける。