エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「真佳奈さんを日本へ連れていかせてください。私のマンションに住んでもらいます。領事が異動になるまで、ここには戻らない方がいいでしょう」

「君に迷惑がかかるんじゃないかね」

　迷惑はもうすでにたくさんかけている。

　月城さんの提案以外、今の私にはどうすればいいのかわからない。でも、自分で住む場所を見つけるくらいはできる。

「……私はどこかに部屋を借ります」

　そう言った途端、父が心配そうな表情になる。日本に身寄りはなく、ずいぶん久しぶりだからだ。

「領事、安心してください。真佳奈さんが日本で暮らしやすいように手伝いますから」

「わかった。そうしてくれると安心だ。こうなるのだったら、月城くんの戸籍を汚せずに済んだな……」

「うまく事が運ぶばかりじゃないですよ。では、真佳奈さんの勤め先へこれから行って説明をしてきます」

「すまない。よろしく頼むよ」

　父は深く頭を下げて月城さんに私を委ねた。


　ホテルでは勤務中のミランダに会え、月城さんがフロントマネージャーに話をしている間、今日起こったことを話して日本へ行く旨を伝えた。

　ミランダも怒りをあらわにして、私の身を心配する。

「私たちはいつでも会えるわ。日本へも遊びにいく。行ったら案内してね」

「もちろん。今まで親身になってくれてありがとう」

　私たちは別れの挨拶に抱き合った。
< 77 / 86 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop