エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
隣で働いているのに寝るわけにはいかない気持ちでぼんやりしていると、ノートパソコンから視線を動かした月城さんが口を開く。
「俺にかまわずゆっくりしていろよ。飛行機の中では睡眠を取らずにたいてい仕事をしているんだ」
「……はい」
映画を観ているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。
クアラルンプールへ到着する前、乗客に軽食をサーブするキャビンアテンダントの声で目が覚めた。
動かず寝ているばかりだったのでおなかは減っておらず、ヨーグルトだけ手をつけた。
彼がノートパソコンを片づけたのは離着陸と食事のときだけで、それ以外はずっと仕事をしていた。
クアラルンプール国際空港へは現地時間で十三時過ぎに到着した。ドバイよりも湿度が高く、空港を出てタクシー乗り場へ向かうだけで肌にジットリまとわりつくような不快感を受ける。
私は薄手のワンピースだけど、月城さんは薄手とはいえスーツを着ているので暑いだろう。
三個のキャリーケースをカートにのせて押す月城さんがふいに立ち止まる。隣を歩いていた私は数秒遅れて振り返った。
「真佳奈」
「は……い?」
月城さんは私に近づき、なぜか鋭い眼差しを向けてくる。
「どうしたんですか?」
私の問いかけに応えないまま、彼は突然私の首の後ろに手を回して自分の方へ引き寄せた。その行動に私の心臓がドクンと跳ねる。
「俺にかまわずゆっくりしていろよ。飛行機の中では睡眠を取らずにたいてい仕事をしているんだ」
「……はい」
映画を観ているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。
クアラルンプールへ到着する前、乗客に軽食をサーブするキャビンアテンダントの声で目が覚めた。
動かず寝ているばかりだったのでおなかは減っておらず、ヨーグルトだけ手をつけた。
彼がノートパソコンを片づけたのは離着陸と食事のときだけで、それ以外はずっと仕事をしていた。
クアラルンプール国際空港へは現地時間で十三時過ぎに到着した。ドバイよりも湿度が高く、空港を出てタクシー乗り場へ向かうだけで肌にジットリまとわりつくような不快感を受ける。
私は薄手のワンピースだけど、月城さんは薄手とはいえスーツを着ているので暑いだろう。
三個のキャリーケースをカートにのせて押す月城さんがふいに立ち止まる。隣を歩いていた私は数秒遅れて振り返った。
「真佳奈」
「は……い?」
月城さんは私に近づき、なぜか鋭い眼差しを向けてくる。
「どうしたんですか?」
私の問いかけに応えないまま、彼は突然私の首の後ろに手を回して自分の方へ引き寄せた。その行動に私の心臓がドクンと跳ねる。