3次元お断りな私の契約結婚
 つまりは、だ。

 巧と唯さんを何とか結婚させたかった。巧にも酒を飲ませて誘って、既成事実を作りたかった。残念ながら危機を感じた巧は逃げ出したわけだが、唯さん本人も酔っ払って裸で目覚めたから成功したと勘違いしたのだ。

 それから念のため他の男性とも関係を持って無事妊娠、堕ろせなくなるまで黙って、確実に巧と結婚できるように計画した……

 ……怖すぎじゃない。いつだったか巧と見に行ったホラー映画よりよっぽど怖い。

 安西さんたちは黙っていた。図星だったのだろうか、言い訳すら思いつかないと見た。確かに、最終的にはDNA鑑定すれば言い逃れできない。

 巧は冷ややかな目で三人を見ていた。

「もう私と妻に関わらないでください。大事な妻を悲しませ混乱させた罪、はっきり言って私はかなり根に持ってますよ。この件は無論父にも報告しておきますので」

「! た、巧くん!」

「とりあえず唯さん、お体に気をつけて。お腹の子には罪はないですからね。もしまた妻に会いにいくようなことをすれば警察を呼びますので」

 にっこりと笑いかけた巧に、唯さんは何も言わなかった。額に汗を浮かべてただ座っている。

 その光景を見て嫌悪感に満ちた。いくら事情があったとしても、相手を騙すようなことまでして結婚したいだろうか。しかも子供を作ってまで。お腹にいる子が一番の被害者だと思う。これから先一体どうするつもりなのか。

……さすがにそこまでは、私たちは首を突っ込めない。

 巧が立ち上がったのを見て私も続いた。魂が抜け落ちてしまったような三人を横目に、私たちは並んでその場から立ち去っていった。



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