3次元お断りな私の契約結婚
『それが何? 緊張して経験もないからどうしていいか分かんなくて帰りたいみたいなこと言っちゃって呆れさせたかもって、やめてよもう……』
「な。なんか要約の仕方に悪意を感じる」
『どこがよ! そういうことでしょ? もっと可愛く甘えて手でも繋いでキスぐらいしたかったってことでしょう!』
「うわーーーやめろーー!!」
思い切り叫んで床に転がり込んだ。いやいや! やっぱり悪意のある受け取り方だよ! 麻里ちゃん、言い方が意地悪だ!!
もだえる私と反して、麻里ちゃんは冷静に続けた。
『杏奈、私は決しておちょくってるわけでもなく嬉しいよ本当に。ようやく中学二年生の女子としての感情が杏奈に芽生えたのね』
「さらりと人の恋愛偏差値中学二年生っていうのやめてくれる」
『恥ずかしいことじゃないって。あのね、解決策は一つしかないよ。
正直に巧さんに言うことだよ』
麻里ちゃんは至極真っ当なことを言った。私は冷静になりふうと息をつく。
わかってるんだよそんなこと。ちゃんと話した方がいいってことぐらい。
私の恋愛偏差値は中学二年生より下で、経験だってゼロに近い。いい年してびっくりするくらい中身が幼稚なんだってこと。
巧に言った方がいいんだよなあ……。
「でもさ……やっぱ普通ひくじゃん……」
『んなの言わなくてもバレるって。どうせキスする時の感じとか、もっといえば夜の営み時には100%バレるでしょ』
「オーマイゴッド、ストレートすぎ」
『だったら始めに言っておいた方がごちゃごちゃせずにすむし巧さんも考えながら引っ張ってくれるでしょ』
「ごもっともですがね」
頭を抱えた。いや、ほんと麻里ちゃんが言うことは正しすぎる。隠してていいことなんか何もないんだ。
……言わなきゃ、いけないかあ。
『まあ、全部言えとは言わないけどさ。とりあえず、今日のデートは緊張で混乱してたってことだけは言っておきなよ』
「はい……」
『あーーー杏奈からこんな相談受ける日が来るなんてね! 私今日は興奮して寝れそうにないよ。嬉しいな、巧さん大事にしなよ!』
私の気持ちとは裏腹に麻里ちゃんは非常に楽しそうだった。口を尖らせて返事をし、電話をようやく切る。
そうだなあ、そうだよなあ。とりあえず、今日のデートの気持ちぐらい正直に言わねばならない。私は決してつまらなかったわけじゃないってこと。どうしていいのか分からなかっただけってこと。
はあとため息をついてそう結論に至った時、玄関の開く音が聞こえた。出かけていた巧が帰ってきたらしかった。
私は慌てて立ち上がりすぐさま自分の部屋から顔を出す。やはり、玄関で靴を脱いでいる巧がいた。手には本屋にでも行ったのか、薄茶色の紙袋を持っていた。
私に気づいた巧は顔を上げる。
「? なに」
「あ、いや、おかえり」
「ただいま」
そう短く言うと、巧はすぐに自室へ入っていこうとする。このタイミングを逃してなるものかと慌てて声をかけた。
「た、巧!」
彼はドアノブに手をかけたままこちらを向く。
「なに?」
「あ、いやあさあ、あのね。…………」
おいどうした私の声帯。全然震えてくれないじゃないか。さっきまでの決意はどこへ行った。
「な。なんか要約の仕方に悪意を感じる」
『どこがよ! そういうことでしょ? もっと可愛く甘えて手でも繋いでキスぐらいしたかったってことでしょう!』
「うわーーーやめろーー!!」
思い切り叫んで床に転がり込んだ。いやいや! やっぱり悪意のある受け取り方だよ! 麻里ちゃん、言い方が意地悪だ!!
もだえる私と反して、麻里ちゃんは冷静に続けた。
『杏奈、私は決しておちょくってるわけでもなく嬉しいよ本当に。ようやく中学二年生の女子としての感情が杏奈に芽生えたのね』
「さらりと人の恋愛偏差値中学二年生っていうのやめてくれる」
『恥ずかしいことじゃないって。あのね、解決策は一つしかないよ。
正直に巧さんに言うことだよ』
麻里ちゃんは至極真っ当なことを言った。私は冷静になりふうと息をつく。
わかってるんだよそんなこと。ちゃんと話した方がいいってことぐらい。
私の恋愛偏差値は中学二年生より下で、経験だってゼロに近い。いい年してびっくりするくらい中身が幼稚なんだってこと。
巧に言った方がいいんだよなあ……。
「でもさ……やっぱ普通ひくじゃん……」
『んなの言わなくてもバレるって。どうせキスする時の感じとか、もっといえば夜の営み時には100%バレるでしょ』
「オーマイゴッド、ストレートすぎ」
『だったら始めに言っておいた方がごちゃごちゃせずにすむし巧さんも考えながら引っ張ってくれるでしょ』
「ごもっともですがね」
頭を抱えた。いや、ほんと麻里ちゃんが言うことは正しすぎる。隠してていいことなんか何もないんだ。
……言わなきゃ、いけないかあ。
『まあ、全部言えとは言わないけどさ。とりあえず、今日のデートは緊張で混乱してたってことだけは言っておきなよ』
「はい……」
『あーーー杏奈からこんな相談受ける日が来るなんてね! 私今日は興奮して寝れそうにないよ。嬉しいな、巧さん大事にしなよ!』
私の気持ちとは裏腹に麻里ちゃんは非常に楽しそうだった。口を尖らせて返事をし、電話をようやく切る。
そうだなあ、そうだよなあ。とりあえず、今日のデートの気持ちぐらい正直に言わねばならない。私は決してつまらなかったわけじゃないってこと。どうしていいのか分からなかっただけってこと。
はあとため息をついてそう結論に至った時、玄関の開く音が聞こえた。出かけていた巧が帰ってきたらしかった。
私は慌てて立ち上がりすぐさま自分の部屋から顔を出す。やはり、玄関で靴を脱いでいる巧がいた。手には本屋にでも行ったのか、薄茶色の紙袋を持っていた。
私に気づいた巧は顔を上げる。
「? なに」
「あ、いや、おかえり」
「ただいま」
そう短く言うと、巧はすぐに自室へ入っていこうとする。このタイミングを逃してなるものかと慌てて声をかけた。
「た、巧!」
彼はドアノブに手をかけたままこちらを向く。
「なに?」
「あ、いやあさあ、あのね。…………」
おいどうした私の声帯。全然震えてくれないじゃないか。さっきまでの決意はどこへ行った。