3次元お断りな私の契約結婚
「分かった、近くにあるご飯屋さんでいい?」
「イエーい!」
「あと、巧も呼ぶ」
「げ!?」
「それでいいね」
私は携帯を取り出して素早く巧にLINEした。ただ、いつも仕事で夜遅くまで働いてる彼はそんなすぐには来れないだろう、それでも隠れて樹くんと二人は避けたい。
「巧はいらないって!!」
「兄弟でしょ。たまにはご飯くらいいいじゃない」
私の手から携帯を取り上げようとする樹くんをサラリとかわすと、私はしっかり送信した。これで、よし。
私は振り返って言う。
「そこにある和食屋さん。美味しいの、行こうか」
巧をよんだことに口を尖らせて拗ねる樹くんだが、そのまま素直に私の隣をついてくる。結局行くんだ
食事。この子よくわかんないなあ。
私の隣に並んだ樹くんが言う。
「せっかく杏奈ちゃんと二人かと喜んだ時間返してよ」
「私なんかと食事して何が楽しいの?」
「押し倒してもびくともしないようなところだよ」
「だから道端で誤解を招くようなセリフやめてくれる?」
「誤解を招くも何も事実じゃーん」
自由奔放。マイペース。一体彼はどう育てられてきたのだろう。計算高い巧とはまるで性格が反対な気がする。
まず外見からして違うもんなあ。ピアスに茶髪。社会人でよくこの……あれ、そういえば。
私は隣を振り返って聞いてみる。
「樹くんって仕事は何してるの?」
「わお、ようやく俺に興味湧いてきた? てゆうか聞くの遅すぎじゃない?」
「てゆうか心のどこかであなたが社会人ってこと忘れてた。ニートって言われても納得する」
「ちょっとちょっと!」
慌てたように樹くんは言う。
「ちゃんと仕事してるよ! まあ簡単に言えばデザイナーかな」
つい目を丸くして彼の顔をみる。なんていうか、納得しつつも驚きもある。
「凄いんだね! 才能なきゃできない仕事だよ」
「んーまあ向いてるとは言われてきたけどね」
「お父様の会社で働かなかったのはやりたいことがあったからなんだね」
「そういうと聞こえはいいね。単に巧の下でなんか働きたくなかっただけ」
眉をひそめて彼は言う。またでた、巧の話題になると本当につっけんどんになる。そりゃタイプも違うから気が合わないかもしれないけどさ……。
「あ、ここここ。小さなお店だけど美味しいの」
「へー。いいね」
すぐ近くにある暖簾を指さした。昔から通っている行きつけのお店だった。中はカウンター席と少しのテーブル席で決して広いとは言えないが、出てくる料理はほっこり感じる暖かなものだ。
個室などもないし、狭いからこそ周りの人との距離も近い。これなら巧もそう文句をいわないのでは。
私は引き戸を開け、暖簾をくぐった。
「イエーい!」
「あと、巧も呼ぶ」
「げ!?」
「それでいいね」
私は携帯を取り出して素早く巧にLINEした。ただ、いつも仕事で夜遅くまで働いてる彼はそんなすぐには来れないだろう、それでも隠れて樹くんと二人は避けたい。
「巧はいらないって!!」
「兄弟でしょ。たまにはご飯くらいいいじゃない」
私の手から携帯を取り上げようとする樹くんをサラリとかわすと、私はしっかり送信した。これで、よし。
私は振り返って言う。
「そこにある和食屋さん。美味しいの、行こうか」
巧をよんだことに口を尖らせて拗ねる樹くんだが、そのまま素直に私の隣をついてくる。結局行くんだ
食事。この子よくわかんないなあ。
私の隣に並んだ樹くんが言う。
「せっかく杏奈ちゃんと二人かと喜んだ時間返してよ」
「私なんかと食事して何が楽しいの?」
「押し倒してもびくともしないようなところだよ」
「だから道端で誤解を招くようなセリフやめてくれる?」
「誤解を招くも何も事実じゃーん」
自由奔放。マイペース。一体彼はどう育てられてきたのだろう。計算高い巧とはまるで性格が反対な気がする。
まず外見からして違うもんなあ。ピアスに茶髪。社会人でよくこの……あれ、そういえば。
私は隣を振り返って聞いてみる。
「樹くんって仕事は何してるの?」
「わお、ようやく俺に興味湧いてきた? てゆうか聞くの遅すぎじゃない?」
「てゆうか心のどこかであなたが社会人ってこと忘れてた。ニートって言われても納得する」
「ちょっとちょっと!」
慌てたように樹くんは言う。
「ちゃんと仕事してるよ! まあ簡単に言えばデザイナーかな」
つい目を丸くして彼の顔をみる。なんていうか、納得しつつも驚きもある。
「凄いんだね! 才能なきゃできない仕事だよ」
「んーまあ向いてるとは言われてきたけどね」
「お父様の会社で働かなかったのはやりたいことがあったからなんだね」
「そういうと聞こえはいいね。単に巧の下でなんか働きたくなかっただけ」
眉をひそめて彼は言う。またでた、巧の話題になると本当につっけんどんになる。そりゃタイプも違うから気が合わないかもしれないけどさ……。
「あ、ここここ。小さなお店だけど美味しいの」
「へー。いいね」
すぐ近くにある暖簾を指さした。昔から通っている行きつけのお店だった。中はカウンター席と少しのテーブル席で決して広いとは言えないが、出てくる料理はほっこり感じる暖かなものだ。
個室などもないし、狭いからこそ周りの人との距離も近い。これなら巧もそう文句をいわないのでは。
私は引き戸を開け、暖簾をくぐった。