愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
食事後少しゆっくりさせてもらいホテルへと戻った。
ご両親は何度も「泊まっていって」といってくださったのだが、正直気後れしていたからホテルで助かった。

ホテルも豪華だけど、あの豪邸よりはね…?

━ブブブブブブブ

アキさんと二人、ホテルでのんびりしていると彼のスマホが振動する音が聞こえる。


「アキさん携帯鳴ってるよー!」
「あぁ。今行く」


ベッド付近にいたアキさんを呼ぶとすぐ来てくれた。


「誰から?」
「えっと、表示されているのは伊豆原聡(いずはらさとし)さんだよ」
「伊豆原?珍しいな」


伊豆原聡ってどこかで聞いた名前だけど…。どこだっけ?
多分アキさんから渡された名簿にいた人だと思うんだけど…。

あー!まだまだ暗記が足りない!

もっと頑張らないと…!
そう息巻いていると、アキさんが申し訳なさそうに「悪い、急遽仕事になった。ちょっと出てくる」といいジャケットを羽織りホテルから出て行ってしまった。


「仕事ってこんな時間から…?」


そう呟いた私の声は誰にも届くことはなかった。
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