愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
弥生の肩に手を置きながら落ち着かせる。
何とか落ち着いたのか、再度二人して座り直す。


「落ち着いたのか?」
「…えぇ。取り乱してしまって、ごめんなさい…」
「それはいい。それよりも何があったんだ?シキなのか?」
「ううん。シキさんじゃないわ」
「じゃあ何なんだ?」


俺が聞くと彼女は覚悟を決めたように俺の方を向いた。


「…会社の送別会があったでしょ?」
「あぁ。二次会に行ったやつか?」
「うん。それ。本当はね二次会に行く気はなかったの。早くアキさんの元へ帰りたかったから」


嬉しい言葉に俺の口角が少しだけ上がる。

だがそれならどうして二次会に行ったんだ?


「二次会に行ったのはね。アキさんに合わせる顔がなくて、帰りづらかったからなの」
「…帰りづらかった?」

「送別会の時に同じ会社の人から告白をされたの。そのときに…、キスをされて…」


キスをされた…?
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