愛しの彼に溺愛～石油王の場合～
その合図と共に、アキさんの元へ父と向かう。

一歩一歩踏みして歩くバージンロード。
アキさんと出会って色んなことがあった。
いろんなことを思い出しながらアキさんの元へとたどり着く。


「弥生」


小さく呟くように私の名前を呼ぶ。
その声につられるようにアキさんの方を向く。

あぁ。

アキさん、凄く幸せそうだ。
きっと私も同じ表情しているんだろう。


「アキさん…」


私が彼の名前を呼ぶと、彼は結婚指輪を私の左手薬指にはめる。
二人で選んだ結婚指輪。


「…やっとだ。やっとこの指に指輪をはめれた」
「あら？アキさんはそれで満足なの？」
「いや。それじゃ物足りないな。俺の隣で一緒の人生を歩んでもらわないと満足できないな」
「ふふ、私もよ。…愛してるわ。アキさん」
「俺も愛してるよ」


甘い空気のままキスをする。
それと同時に拍手が送られる会場。

BARSNOWのマスター鈴子さんのお世辞にも上品とは言えない泣き声。
その前には茜ちゃんと千景先輩が拍手してくれている。
結婚式の会場で知り合った安藤舞さんも呼んでいる。
これから結婚式を挙げる者同士息があったのだ。

私が呼んだのはこの四人だけ。
そのうち泣いてないのは千景先輩だけ。

アキさんが呼んだのは、仕事の関係者数人と伊豆原さん。
それから驚いたことに東條仁さんも…。
あんなに相性悪かったのにいつの間に仲良くなっちゃったの？

そんな人たちの前でのキスはとても恥ずかしい。
でも今の私は気にならなかった。

だって今の私はここにいる誰よりも幸せなのだから。
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