愛しの彼に溺愛～石油王の場合～

｢はい。今月末までですね｣
｢急だね。何かあったの？｣
｢はい！私この度結婚する事になりまして、それで仕事を辞めることになったんです｣


一応引継ぎのメールにも書いたけど、忙しくて見てなかったのかな？
まぁ件名見れば分かるけどね。

─カタン。
私が話した途端、森さんの箸が落ちた。


｢…え｣


呆然とする森さんとトンカツを口に入れようとして何故か止まっている田中さん。

私何か爆弾発言でもしたのか…？
固まってるふたりを他所に箸を拾って、森さんに渡す。


｢これは取り替えて貰った方がいいですよねって、森さん？森さーん？｣


森さんの前で手を振るとようやくこちらに気づいたのか。
アワアワしながら箸を受け取った。


｢あ、ありがとう。ちょ、ちょっと取り替えて貰うよ…。うん｣


フラフラ歩きながら店員さんの所に向かう森さん。


｢大丈夫かな？森さん｣


流石に心配になり田中さんに聞くと、動揺した感じで｢そっすね…。多分ダメかな？｣と言うと、茜ちゃんも千景先輩も大きく頷いた。