愛しの彼に溺愛～石油王の場合～
いい香りがするリビングで最後の盛り付けをするアキさん。


「最近は作ってもらってばかりでごめんね？もう少し早く帰ってこれたらよかったんだけど…」

「いや。手続きが多いだろ、それに会社での引継ぎもある。仕方がないことだから気にするな。」
「うん。ありがとう！」


ご飯は出来る方が準備をするというのを同棲初日に決めた。
最初毎日外食でもいいってアキさんは行ってくれたけど、それはなんか申し訳なくて家で食べたいと駄々をこねたのが原因だ。

朝は私が作り、昼は各自で、そして最近の夕飯はアキさんが作ってくれることが多い。
忙しくなるまでは私が夕飯も作っていたけど、どうしても引継ぎや退職の手続きに時間がかかる。

「残業になる」ってアキさんに初めて連絡した日から作ってくれるようになったんだっけ。

なんか最近の事なのに懐かしく思うのは年をとったせいかな？

なんて考えていると料理がテーブルの上に並び終わっていた。
私とアキさんは目を合わせると二人同時に手を合わせて「「いただきます」」と口を開く。

アキさんが作った鮭のムニエルを口に運ぶ。


「ん～！おいふぃ～！！」


食べる私をホッとしたような幸せそうな顔で見つめてくるアキさんに気づかないほど私は料理に夢中になっていた。
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