愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
小さな不安
小さな不安が頭をぐるぐると駆け回る。
いつもは回る思考回路も今は霧がかかったかのように真っ白だ。
ボーッとしてたら、私の家についていた。
横にはアキさん。
いつもはときめく運転手姿のアキさんにも今は何も感じない。
なんだろうこの胸騒ぎ。
「ついたよ」
「あ、うん。ありがとう。アキさん」
アキさんが何か言おうとする前に、私は車を降りて家に逃げるように入っていた。
あの時、アキさんはなんて言おうとしたんだろうか?
やっぱり結婚はやめようだったりしたら…。
嫌な考えばかりが頭にはりつく。
『石油王』このカミングアウト、普通なら喜ぶべきことなのに…。
玉の輿だって、喜ばないといけないのに。
━「ただ俺が石油王って知った途端目の色を変える奴が多くてな。伝えるのが遅くなってすまない。」
どうしても、この言葉が頭から離れない。
私本当にアキさんと結婚してもいいのかな…?