愛しの彼に溺愛～石油王の場合～

混乱する頭を抱えながら打開策を考える。


「う、腕どけてもらえませんか…？」


絞りだした声に森さんが少し動揺したように感じたが腕はどかないまま。
え！なんで！？


「ごめん…」


そう呟く森さんになんて言っていいか分からない。

今森さんは何を考えてるの？
分からない。

…分からないよ。

重々しい空気の中森さんが口を開く。


「小林さん、俺…、小林さんの事ずっと好きでした」


…え？


「今言われても困るのは理解してる。…うん。それは、本当にごめんね」


森さんは何を言ってるの？


「でもどうしても気持ちだけは伝えたかったんだ。色々考えた。絶対俺が告ったら迷惑をかける。少なくとも結婚をする女性に対してだから…。でも、初恋だったんだ！だからどうにか一区切りつけたくて…」


ゆっくりと森さんの方に振り向く。


「だから…、俺の事ちゃんと振ってください」


森さんはそう静かに私に告げた。