愛しの彼に溺愛～石油王の場合～
波乱の温泉旅行
「ねぇ、本当に泊っていかないの？」


名残惜しそうにお母さんが問いかけてくる。


「うん。ごめんね。この後アキさんと旅行に行く予定してて…」
「あら！旅行！いいわね～。それなら仕方がないわ！楽しんできてね！」
「お土産買ったら送るね！」
「楽しみに待ってるよ」
「それではお世話になりました」
「じゃあ、またね」


そう言ってアキさんの車に乗り込む。
今日の食事の間アキさんはお酒を一滴も飲まずに帰り道の運転に備えてくれた。

本当に私には勿体ない人だなぁ…。


「予定より少し時間すぎちゃったけど、飛行機の時間大丈夫かな？」
「大丈夫。このまま車を置きに行ってタクシーで空港行けば余裕だな」
「昨日のうちに準備しててよかったね」
「そうだな」


家から空港はそこまで遠くない。
それこそタクシーで一時間もかからない距離だ。
だからアキさんも余裕っていったんだろう。

婚約してから初めての旅行。

凄く楽しみだ！
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