愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
この甲高い声は忘れたくても忘れられない声。


「なんでアンタがこんなとこいんの?」


私の事をいじめてきた元同級生。古田愛理(ふるたあいり)
あの頃から変わってない可愛らしい顔と甲高い声。

この人の声が脳裏に響く。
忘れられない笑い声…。…嫌だ。怖い。

・・・早くこの場からいなくなりたい!


「愛理の知り合いか~?」


古田愛理の後ろから、チャラそうな男がでてくる。
怖くて私は少し後ずさる。


「そうなのぉ~。愛理の元同級なんだぁ~。タクちゃんみたいないい男にはもったいないブス女なのぉ。あ、そうだ。愛理が買う予定だったお土産買ってきてよ。どうせあんまり金使ってないんでしょ?小林の事だし」
「なになに~。コイツお前の財布なわけ?」
「そ~なの。昔にね~、愛理が上下関係を教えてあげたのぉ~。そのお礼にきっと奢ってくれるよぉ!」
「ふーん。いいねぇ」


怖い。

恐怖に飲み込まれる。
もう二度と会いたくなかったのに、早くアキさん早く帰ってきて。

お願い!

そう思っていると、突然肩を寄せられる。
アキさんだと思い見上げると、そこには見たこともない人が…。


「この人僕のなんだけど何か用かな?」


肩を寄せた人が口を開く。
アキさんとは違う、優しい感じのイケメン。

急な出来事に呆然とする。
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