愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
伊豆原聡って誰?
中学2年の途中から教室に通ってないから、同級生を完全に覚えているわけじゃないけど、そんな人同級生にいたっけ?

全然分からない。

それにこの優しそうなイケメンさんも一体全体誰なんだろう…。


「知ってますよね。だって貴方の婚約者なんだから。ねぇ、古田愛理さん」
「な、なんで私の名前…!」
「知ってますよ?隣にいる男性は、大山卓也(おおやまたくや)さんですよね」


あぁ、それでタクちゃん…。
なるほど。


「はぁあ!?なんで俺の名前まで知ってんの!?つか、誰なんだよ!テメェ!!」
「僕の名前は今どうでもいいんじゃないですかね。それより、はい」


そう言って彼は二人に向かって携帯を差し出す。
その画面は通話中を示しており、そこには『伊豆原聡』と表示されていた。


「う、うそ…!」
《俺の声が聞こえているんだろう?愛理》
「な、なんで!!」
《…なんで?…それはお前の浮気に気づいたことか?それともその男の素性まで調べ上げている事か?》


二人は動揺しているのか、絶望しているのか一気に顔色が青くなる。
そこから伊豆原聡さんの独壇場となった。
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