ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
■彼氏、満月の夜、狼
今にもいろんな気持ちで張り裂けそうな胸をなんとか抑えてお風呂に入って服を着て、髪を乾かして。
あとは……。
コンコン。
「お、上がった?おかえり」
ドキンドキンドキン。
震える手でゆっくりゆっくりドアを開いて。
「おいで」
「……」
「もっとこっち。俺の足の間、きて?」
自分がどんな顔をしているのか、見なくても言われなくてもわかってる。
緊張よりも、もっと。
渚にふれられることを期待してる顔。
「体調大丈夫?のぼせてない?」
「うん……」
「さわって、平気?」
「うん……」
どんなスイーツよりも甘ったるい声が部屋の温度をグンと上げる。
「大丈夫。怖いことするわけじゃないから。
リラックスして、肩の力抜いて?」
「っ、なぎ、さ……」
グッと腰に回った腕と、するりと絡まる指に、体が震える。
「うん、俺だよ。大丈夫。すぐに緊張とかなくなるくらいにまで、気持ちよくしてあげる」
ゆっくりゆっくり腰から背中へと手が上がって。
「顔あげて、俺のこと、見て」
グッと後頭部に回って、そっと顔をあげたとき。
「っ!?なっ、なんで……っ、」
「驚いた?」
渚の格好に、驚きで固まったまま動けなくなった。