ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「じゃあ、始めるから」
「まっ、まって……!」
「ごめん、待てない。もう、限界。
理性死んでる」
どこか焦るような低い声のあと。
「あっ……」
するりと指が絡んで、ぎゅっと握られて。
「ふ、ぁ……っ、」
おでこに、こめかみに、頬に、耳に。
「どこにキスしてほしい?」
「えっ……?」
「俺にどうされたい?どうふれてほしい?」
「っ、なぎ……っ、」
「言ってくれたらしてほしいこと、ぜんぶしてあげるよ」
「いじ、わる……っ」
「ごめんな?いじわるな俺は嫌い?」
「す、き……」
「ん、俺もすき。大好きだよ」
どんどん力が抜けてくる。
渚の熱がゆっくりゆっくり私の体をとかしていく。
はずかしさなんて、緊張なんて。
もう、そんなの……。
「散々焦らされた分、めいっぱい甘やかして、とろとろになるまでキスしてあげるから」
「ふっ、え……っ」
「むぎが我慢してた分と、俺が我慢してた分、倍にして」
「っ、ふ、なん、で、」
私はなにも言ってないのに、知ってるの……?
「さっきごはん食べ終わったとき、顔赤かったのってそれが理由だろ?」
「っ!!」
「ふっ、わかるよ、ぜんぶ。むぎのことならすべて」
まさかむぎも我慢してくれてたなんて。
お風呂でもベッドで待ってるときもニヤニヤとまんなかったなー、なんて。