ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「ふっ、あ……」
性急な言葉とは裏腹に、ふれる唇は確かめるようにゆっくりで、とびきり優しいから。
「ん……っ、ふ、」
そのせいで、より渚の体温がはっきり感じられて。
や、やだ……っ。
角度が変わるたびに、ずくりとお腹が熱くなって、視界が潤む。
「っ……は、すっげえかわいい……」
「なぎさ、せん、ぱ……」
体に集まる熱を逃がしたくても、聞こえる自分みたいじゃない声を抑えようとしても。
「もっと、もっと……声我慢しないで、聞かせて」
「っ、あ……っ、」
一瞬離れた唇が耳元で甘く囁いて、その度に重なる唇が深くなる。
「好きだよ」
「ふっ、あ……!」
「めちゃくちゃ好き。大好き」
っ、息、が……っ。
頭の中がジーンとして、全身からぶわっと汗が噴き出して。
「手、さわるよ」
そして、
「ん……っ」
絡めとられた手のひらにそっと口づけが落ちてくる。
「はぁ……あっつ……」
ビクッ……!
重なる度に聞こえる水音。
衣擦れの音、敏感に跳ねる私の足がシーツを蹴る音。
「脱ぎたい……」
「っ、あ……っ」
熱い吐息が耳を掠める度に、体が震える。
見えないことが、こんなに……っ。