ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「なぎ、さ……っ、」
「っは……、なに?」
「あたま、が……っ」
くらくらして、めまいが、する……っ。
「ん、体、力入んない?」
「ん……っ、」
じわりと涙が滲んだ瞬間。
完全に力が抜けて、ずるりと落ちた私の腕をそっと受けとめて。
「一瞬だけ。もう一回、俺に腕回して」
ふわりと抱えられたと思ったら、背中がゆっくりなにかに沈んで、また……。
「腕回すのつらいだろうから、手、つなごうな」
「ん……」
シーツに縫いつけられるようにして、ぎゅうっと指が絡む。
「……」
「……」
っ……?
それから数秒後。
「せん、ぱ……?」
いつになっても甘すぎるほどの熱が落ちてくることはなくて。
真っ暗な視界の中で、閉じていた目をゆっくりあける。
どうしたの……?
どうして、ふれてくれないの……?
私、なにか変なことしちゃった……?
「なぎ、さ……せん、ぱ……」
急に黙り込んでしまった渚に、震える声の中、不安になって問いかけたら。
「えっろ……」
「っ……?」
応えてくれた安心か、体質からくる涙か。
耐えきれなくてぽろりと落ちたそれに、ゴクッと何かを飲み込むような音がしたあとで。
「……スーツ着て、彼女押し倒してるとかめちゃめちゃ興奮する」
瞬間。
ギシッ────。
「ふっ、あっ……!」
ベッドのスプリングの音がなってすぐ。
今度は噛みつくように、最初から深く唇が重なる。