ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
シーツに押しつけられた両手はぎゅうっと握られたまま。
っ、はげ、しい……っ。
酸素を求めて口をひらいたら。
「ふっ……あっ、!」
な、に……っ。
するりと熱い湿ったなにかが上顎をなでていって、思わずビクッとする。
「むぎ……」
ゆるりと髪をなでられて、
「かわいい……息、して」
「っ、ん、ん」
全身が揺さぶられるほどの甘い声が囁いて、首すじに顔をうずめる。
あつい……っ、くすぐったい……っ。
耳、首、鎖骨。
しだいに唇が下へ下へ落ちていくのが分かる。
「ふっ、はぁ……っ」
クーラーなんて意味ない。
ふれる唇も、かかる吐息も、すべてが熱くて。
服……くる、しい……。
上まで止めたパジャマに息が荒くなって、視界がグラッと歪む。
「ん……ごめん。息、つらいな」
「っ、あ、な、なに」
「ボタン、外そうな」
「や、やだ……っ」
はずかしい、よ……っ。
ふれるだけのキスが落ちてきて、一瞬離れたと思ったら、胸元がスースーして。
「息苦しいだろうし、少しは楽になれるから」
「で、も……っ」
なんとか抵抗してみようとしても、手は握られてるし、ベッドに沈んだままでなにかできるはずもなくて。
「大丈夫、ほら……」
「っ、あ……!」
「かわいい……めちゃくちゃかわいいだけだから」
隠さないで、俺に見せて。
「っ!!」
どろりとはちみつ以上に甘ったるい声が全身を駆け抜ける。
「ボタンぜんぶ外したわけじゃないから安心して。ちょっとまってて。俺も脱ぐから」
そして、バサッとなにかがベッドの下に落ちる音がしてすぐ。
「おまたせ。もう一回キスしような」
おでこをふわふわなでられて、
「ふっ、はぁ……」
また、甘い甘いキスが落ちてくる。