ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。

「なぎさ……」


「うん？」


「す、き……」


「っ!!」


「大好き」


「っ!!」


小さい声だったし、一瞬だったけど。

っ〜〜、やばい。

鼻血出そうなんだけど……。


好きって言ってくれて、頬にだけど、キスもしてくれて。


「なぎ、さ……」


俺の首に手を回して、ぎゅうっと抱きついてくるその姿。

あまりのかわいさにブルブル手が震える。


「はぁ……」

「？どうしたの、渚？」


「なんでもねーよ」


むぎの前では絶対に使わないって決めてる言葉使いも、つい気持ちが緩むと出てしまう。


「ふふっ、渚、口調悪くなってるよ？」

「うるせー。誰かさんがどうしようもないくらいかわいいから、頭回んねーの」


渚先輩、からとっくに渚に戻ってるけどこの際今はどうでもいい。

だってそれさえも忘れるくらい、俺に溺れて、俺に感じて、俺でいっぱいになってくれた証拠だから。