ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
□彼女、愛しさ満点◎


「渚、起きて!」

「んんっ……」

「もう7時だよ。
そろそろ起きないと」

「んー……ねむい、」


もう……だから明日学校あるよって言ったのに。

次の日の朝。

ベッドから出てこない渚の肩をトントンする。


「もう、先にごはん食べて……」

「行かせるかよ」

「えっ……きゃあっ!?んっ……」


っ、な、なにするの……!?

グッと腕を引き寄せられたと思ったら、ふれるだけの軽いキスが落ちてきた。


「おはよう、むぎ」


伏せられていた長いまつげがゆっくり上がって。


「むぎも、して?」

「っ、いいかげん起きないと……っ」


「してくれたら俺、すぐに起きるんだけどなー」


私を見上げる顔はいじわる満点。


逃げ道なんて作ってくれない。

っ、完全に起きてるくせに……!


「な……約束、ふたりで決めたじゃん」

「っ〜〜、もうっ……!」


一瞬ふれて、すぐに離れて。


「さ、先に食べてるからっ!」

「ちょっ、む……」


っ……耳まであっつい。

ほんっとはずかしい……。


1日4回はキスしなきゃいけない新婚ルール。

同意した過去の自分を今すぐ殴りたい……。
< 146 / 332 >

この作品をシェア

pagetop