ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「でっ!?実際どうなの!?」
「えっ!?」
「どこまでいったの!?
A!?BなんならCまで!?」
「きゃあああ!」
A?C?
なんですかそれは……。
みんなが言ってることはよく分からないけど、一応婚約と、同棲は、してます……。
「はいはい、みんな落ちついて」
この、声は……っ。
「っ〜、那咲〜!」
にこやかに登校してきた姿にうるっとなる。
こんなに那咲を待ち遠しいって思ったの初めて。
やっときてくれた……っ。
「もう聞いて。私こんな事情聴取みたいな、朝から大変で……」
「みんな、むぎの手、見てみなさいよ、手。
なにがついてると思う?」
「は……」
ちょっ、ちょっとちょっと那咲!?
ふつうここは私を庇ってくれるんじゃないの!?
それはそうと、やばい……。
さすがに指輪、学校の中では外すべきだった。
なんて、後悔しても後の祭り。
ハッと口に手を当てたり、目を見開いたまま固まるみんなに、たらりとこめかみに汗が流れるのがわかって。
「あはは……私、ちょっと、用事を思い出して……」
そう言って後ずさった瞬間。
「「「逃がさないよ」」」
キラッキラのまぶしい笑顔。
ガシッと掴まれた腕と。
「っ!?」
トンっと背中がぶつかったのは。
「こんな大事なときに、どこ行くのかしら、むぎ」
仁王立ちで腕を組み、満面の笑みを浮かべた我が親友、那咲。
「逃がさないわよ」
あ、終わった。
完全に死亡フラグだこれ。
「一昨日聞けなかった分、たっぷり聞かせてもらうわよ」
逃げる一瞬の余地もなく。
「1から10まですべて吐きなさい」
女子たちの激しい(?)取り調べに無事(?)捕まったのだった。