ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「でっ!?実際どうなの!?」


「えっ!?」


「どこまでいったの!?
A!?BなんならCまで!?」

「きゃあああ!」


A?C?

なんですかそれは……。

みんなが言ってることはよく分からないけど、一応婚約と、同棲は、してます……。


「はいはい、みんな落ちついて」


この、声は……っ。


「っ〜、那咲〜!」


にこやかに登校してきた姿にうるっとなる。

こんなに那咲を待ち遠しいって思ったの初めて。

やっときてくれた……っ。


「もう聞いて。私こんな事情聴取みたいな、朝から大変で……」


「みんな、むぎの手、見てみなさいよ、手。
なにがついてると思う?」

「は……」


ちょっ、ちょっとちょっと那咲!?

ふつうここは私を庇ってくれるんじゃないの!?


それはそうと、やばい……。

さすがに指輪、学校の中では外すべきだった。


なんて、後悔しても後の祭り。


ハッと口に手を当てたり、目を見開いたまま固まるみんなに、たらりとこめかみに汗が流れるのがわかって。

「あはは……私、ちょっと、用事を思い出して……」


そう言って後ずさった瞬間。


「「「逃がさないよ」」」


キラッキラのまぶしい笑顔。

ガシッと掴まれた腕と。


「っ!?」


トンっと背中がぶつかったのは。


「こんな大事なときに、どこ行くのかしら、むぎ」


仁王立ちで腕を組み、満面の笑みを浮かべた我が親友、那咲。


「逃がさないわよ」


あ、終わった。

完全に死亡フラグだこれ。


「一昨日聞けなかった分、たっぷり聞かせてもらうわよ」


逃げる一瞬の余地もなく。


「1から10まですべて吐きなさい」


女子たちの激しい(?)取り調べに無事(?)捕まったのだった。
< 152 / 332 >

この作品をシェア

pagetop