ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
声でっか……。
てか、顔真っ赤じゃん……。
「えっ、なに知ってたの!?
オレそんっな、わかりやすい!?」
「いや、森山本人もむぎも気づいてないっぽいけど、俺からみればバレバレ」
付き合い長いし、碧の場合、コミュ力高いし人懐っこいから、すぐに仲良くなるのは得意だけど、その先になかなか進めないタイプ。
いわゆる、お友達止まりのタイプ。
「うっわ、まじか〜、バレてたのか……ちなみに、いつからって聞いても……」
「小学校」
「はい、死んだ」
机に突っ伏して、手足をジタバタする碧。
たぶん隠してるつもりなんだろうけど、耳赤いのバレてるよ。
「ほんとはさー、中学のときに告白しようと思ってたんだけど、向こうは絶対オレにそんな気ないって分かってるし、今の関係壊したくなくて」
その気持ちはめちゃくちゃ分かる。
俺だって、むぎの口から好きだって聞くまで、夢だとしか思えなかった。
ずっと保っていた関係にけりをつけるのって、いろんな意味でめちゃくちゃ勇気がいる。
「で、そのままずるずる引きずってる内に、高校別れちゃったし。せめて学校同じだったらなー」
頬づえをつきながら、遠い目ですぐ隣に見える校舎、花柳を見つめる碧。
俺だって思わないわけじゃない。
同じ学校で、同じクラスで、隣の席で授業受けれたら、どんなに楽しくて幸せかって。
けど俺はむぎの体質のこと、むぎの可愛さもぜんぶひっくるめたら、今の生活が一番良かったと思うから。
そりゃあ一緒でうれしいに越したことはないけど、学校が別な分、ふたりになったときの特別感は大きいし、幸福度が倍だし。
あー……こんなことばっか考えてたら、まじで会いたくなってきた。
「会いてえ……」
「俺も」
今だけは碧の言葉にめちゃくちゃ同意できる。
ちょっとでも姿、見えたりしねーかな、なんて。
思ってたら。
「っ、えっ!?
なっ、渚!!」
「なんだよ」
「見て!見てあそこ!」
「なに?」