ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
***
「◎なんて、ほんとむぎらしいっていうか、なんていうか」
「うっ、だってはずかしくて……」
放課後、那咲とふたり、玄関へと続く廊下を歩く。
「けどさ、隣の校舎からこっち見てるのに気づくなんて。愛の力は偉大だ、ってやつ?」
「……もう、この話やめない?」
はずかしさMAXなんですけど……。
渚実はと紙越しに会話してるのを他の子にも気づかれちゃって、めちゃくちゃニヤニヤされて。
那咲なんて、もうずっっっとその話してるし。
「だってむぎ、めちゃくちゃかわいいんだもん」
「それはこっちのセリフだよ……」
お世辞抜きにして、同性の私から見ても美しいって思うくらい、美人な那咲。
サラツヤストレートな黒髪ポニーテールは抜群に似合ってるし、
ふだんは落ちついたサバサバ系のお姉さんって感じなのに、笑ったときにできるえくぼとか、三日月型になる目とか。
話しているときとそうじゃないときのギャップがすごくて、私が男子ならきっとイチコロ。
「土方ー」
「渚お待たせ。待った?」
それから広場のほうへ行けば、土方くんも渚もすでに来ていて。
「おっ、来たか!」
「はぁ……やっと会えた」
「ちょっ、渚!?」
「わーお」
「あたしたちいるんだけど」
渚と目が合った瞬間、気づいたときには抱きしめられてて。
「死ぬほど会いたかった……」
確かめるように、ぎゅうっと力がこもって、掠れた低い声が耳に流れ込んでくる。
っ、ふっ、ふたりが見てるっていうのに……!
「うちのやつに声かけられなかった?」
「そ、それは大丈夫」
「よかった……かわいいからほんと心配」
「あの、なぎ、さ……」
軽減されたとはいえ、症状、なくなったわけじゃないから……!
こんな人が多いところで、しかも土方くんたちがいる前で症状を出すわけにはいかないから……!
「◎なんて、ほんとむぎらしいっていうか、なんていうか」
「うっ、だってはずかしくて……」
放課後、那咲とふたり、玄関へと続く廊下を歩く。
「けどさ、隣の校舎からこっち見てるのに気づくなんて。愛の力は偉大だ、ってやつ?」
「……もう、この話やめない?」
はずかしさMAXなんですけど……。
渚実はと紙越しに会話してるのを他の子にも気づかれちゃって、めちゃくちゃニヤニヤされて。
那咲なんて、もうずっっっとその話してるし。
「だってむぎ、めちゃくちゃかわいいんだもん」
「それはこっちのセリフだよ……」
お世辞抜きにして、同性の私から見ても美しいって思うくらい、美人な那咲。
サラツヤストレートな黒髪ポニーテールは抜群に似合ってるし、
ふだんは落ちついたサバサバ系のお姉さんって感じなのに、笑ったときにできるえくぼとか、三日月型になる目とか。
話しているときとそうじゃないときのギャップがすごくて、私が男子ならきっとイチコロ。
「土方ー」
「渚お待たせ。待った?」
それから広場のほうへ行けば、土方くんも渚もすでに来ていて。
「おっ、来たか!」
「はぁ……やっと会えた」
「ちょっ、渚!?」
「わーお」
「あたしたちいるんだけど」
渚と目が合った瞬間、気づいたときには抱きしめられてて。
「死ぬほど会いたかった……」
確かめるように、ぎゅうっと力がこもって、掠れた低い声が耳に流れ込んでくる。
っ、ふっ、ふたりが見てるっていうのに……!
「うちのやつに声かけられなかった?」
「そ、それは大丈夫」
「よかった……かわいいからほんと心配」
「あの、なぎ、さ……」
軽減されたとはいえ、症状、なくなったわけじゃないから……!
こんな人が多いところで、しかも土方くんたちがいる前で症状を出すわけにはいかないから……!