ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「ね、一旦、離れよ……?」
「んー」
「んーじゃっ、なく、て……っ」
「ふだんクールなやつって、彼女の前じゃこんなデレデレになるのね。勉強になるわ」
「渚……おまえ、星見といるときいつもそんな感じなんだな」
抱きしめられたまま、ふたりになんとも言えない顔をされて、ますます体が熱くなる。
っ、このままじゃ、さすがに……っ。
「な、なぎさ、」
「んー?」
「デート、しない、の……?」
「……する。けど離れたくない」
うーん、もう一声……。
こ、こういうときこそ、素直になれ、私。
がんばれ……!!
「わ、私は早く渚とデートしたくて、今日1日ずっと楽しみで、ドキドキ、してた……渚、は、ちがう、の……?」
肩をトントンして、ゆっくり言葉をつむぐ。
抱きしめてくれるのはうれしいけど、今は学校で、家じゃない、から……。
「あ、あとで、家帰ってから、ね……?」
「っ!!」