ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「じゃあ渚の星見補給も終わったことだし、行きますか」
土方くん……そのネーミングはやめて。
やっぱ遊びに行くならあそこっきゃない!
駅近くのショッピングモールにしようぜ!
そんな話になって、とりあえず学校を出る。
「え、ふたりも一緒でいいの?」
ふと那咲が声をあげた。
「むぎたちは、デートするんでしょ?
なんか4人で遊ぶことになってるけどいいの?」
「うん?ぜんぜんいいよ?」
「俺も。なんならコレ、デートだし」
な?そう言ってきゅっと指が絡んで、甘い甘い優しい瞳に見つめられてドキッとする。
「ホントに?あたしたちお邪魔じゃない?大丈夫?」
「大丈夫!ふたりがそう言ってるんだし!」
「ならいいけど……あ、そういや土方さ、一昨日の日、スーパーいたけど、お使いしてたの?」
「そうなんだよ。親に頼まれてさー、森山も?」
「そうそう。あそこのスーパー大きいじゃん?親が結構こだわり強くてさ、あそこでしか売ってない調味料あるとかで買いに行かされたんだよね」
「そうなんだ。けどオレあそこ行ったことなくてさ、一緒に回ってくれて助かった」
「いーえ、お役に立てたならよかった……あ、もしかして」
「ん?」
「そのお礼?」
「え?」
「遊びに誘ってくれたの、それが理由なんでしょ?」
「……」
「そもそもさ、土方が遊びに誘ってくるなんて初めてびっくりした。一体どういう風の吹き回し?って思って」
「い、いや……べつに変な魂胆とかなくて、ただふつうに遊びたいなって思っただけ!小中一緒だったけど、遊んだこととかほぼないじゃん、オレら!」
「たしかに。そういやあんまないね」
なんて会話をするふたりのすぐうしろで。
「碧、絶望的じゃん……」
「那咲、ああ見えて結構鈍感なところあるからなぁ……」
渚とふたり、苦笑い。