ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
『放課後遊びに行こ!』
土方くんが見せてた那咲へのメッセージ。
美術の授業のあと、こっそり渚と連絡を取り合って、ぜんぶ聞いた。
土方くんが那咲を好きなこと、一歩勇気を踏み出したくて遊ぼうって誘ったこと。
土方くんが那咲を!?
本当に!?なんてまったく気づいてなかった私だけど、今の土方くんを見て確信した。
土方くん、思ってた以上に那咲にベタ惚れっぽい。
声のトーンも、表情もすっごく明るい。
土方くん、陰ながら私も応援してるからね……!!
「そういやさ、」
「うん?」
「美術のとき、こっち向いてくれてうれしかった」
っ、またその話……。
「あのときさ、なんでこっち見てくれたの?」
コテンと首をかたむけて、教えて?ってグッと顔を近づけられて。
「うっ……答えなきゃ、だめ?」
「だめ。そんなかわいー顔させてるのって、俺が理由なんだろ?だったらなおさら気になる」
「ううっ……」
顔隠しちゃだめだよ。
逃げたら、ほら。
「こんなとこで、いいの?」
なんて、いじわるに笑っていやでも視線を合わせられたら。
「ずるい……」
「んー?」
答えるしか、できなくなる。