ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「あのー、おふたりさーん、それは家でやってくれます?」
「見てるオレらがはずかしいんだけど……」
「っ!!」
そ、そうだった……っ!
また流されて忘れるとこだった。
ここは道の真ん中で、ふたりがいるってこと!
「ご、ごめんふたりとも!
ほら、渚も……」
「むぎがかわいすぎて。悪い」
「もう、渚!」
「開き直んなバカ」
「どうせ悪いなんて思ってないんでしょ?」
むぎに謝れって言われたから、だもんね?
なんてヤレヤレため息をつく那咲。
ほんとごめん、ふたりとも……。
「よし、じゃあ渚にはおわびになんか奢ってもらおうかな〜!!」
「いいのか、碧。そんなこと言って」
「え?なにが?」
「俺が森山に……」
「っ!!」
「え?あたしがなに?」」
「あーあーあー!なんでもねーからっっ!!」
「?」
「ちょっ、本人の前でなんてこと言っちゃってくれてんの!?」
「だれのせいだよ」
渚……土方くん脅すのやめよう?
土方くんも、なかなか怖いもの知らずって言うか、なんというか。
「と、とりあえず行くか!」
「結局どこ行くんだっけ?」
「モールだよ!ショッピングモール!
駅近くの!いろんな店入ってるし」
にっこり笑顔の渚に、あはは、なんて苦笑いの土方くん。
珍しく頭にハテナマークを浮かべてキョトンとする那咲。
まだデート(?)は始まったばかりだけど、こういう賑やかな感じも、本当に楽しいな……。