ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
それからショッピングモールに着いて、4人でいろんなお店を回っていく。
「土方この服似合いそうじゃない?」
「うっわ!森山センスめっちゃいい!」
「渚、なんか気になるものあった?」
「いや、このストラップの犬、なんか碧に顔似てない?」
「ふはっ、ほんとだ!かわいい〜」
服屋さんだったり、雑貨屋さんだったり。
いろんなものを見て、はしゃいでの時間は本当に楽しくて。
「むぎ、楽しい?」
「うん、とっても!
渚は?」
「ん、俺も」
お互い目を見て笑って、また手を握る。
少しずつ少しずつ、渚にふれていられる時間が長くなっているのを肌で感じて、その度にうれしくなる。
あ、これ……。
「ん?なんか見つけた?」
たまたま入った雑貨屋さんで、ふと目についたマグカップ。
ライトブルーと淡いピンクのグラデーション。
なんかこれ、渚っぽい……。
クールなのに、家とかふたりきりでは甘々なところとか。
「じゃあ、むぎはこれだな」
「え?」
白地にねこの顔が書いてあるそれは、持ち手がくるんとしてて、しっぽみたい。
「なんで、ねこ?」
「まんまじゃん」
「まんま!?」
「うん」
初めて言われたというか、渚、私にどんなイメージ持って……。
「ねこってそっけないとこもあるけど、甘えん坊なとこもある。ツンデレじゃん?だからむぎっぽいってこと」
「わ、私がツンデレなわけな……っ」
「理性グラグラなとき、甘い声で俺の名前よぶのだーれだ?」
「っ……」
「けどふだんツンツンしてる分、デレたときの破壊力はまじでかわいいから大好きなんだけど?」
「っ、はあああ!?」
「でもむぎがねこだったら、こうして話したり、手つないだり……」