ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「だって、付き合ってる彼氏と!彼女だよ!?
しかもふたりきり!むぎからアクション起こすのも、悪くはないと思うけどなぁ……」
「うっ、それは……」
「しかもいつの間にあんなにさわられるようになったの!?体質どこ行った!?って感じで!やっぱ久遠のおかげでしょ!?そうでしょ!?」
「……」
「無言は肯定といっしょだよー」
「うっ!」
ニヤニヤ笑う那咲に、反論する余地なし。
だって、ほんとうのことだから……。
「そんな久遠に恩返ししたくない?久遠の喜ぶ顔、見たくない?」
「それは……」
てか私の水着姿で、渚、本当に喜ぶの……?
「彼女に自分に見てもらいたくて、喜んでほしくて水着選びました、なんて言われて喜ばないやつなんて男じゃないわ。それくらい、彼女の水着姿なんて男全員見たいでしょ」
「そ、そうなの?」
「そうよ!しかも大大大好きなむぎときた。あのクールな顔して内心ぜったい思ってるって〜」
「なにを!?」
「まあ、いいや。
ってことでむぎの水着、選びましょー!」
「那咲の選ぶんじゃないの!?」
「あたしはもうとっくに買ってあるから!これはむぎのため!ふたりで買い物なんてふだんはできないんだから、せっかくだしかわいいの選ばせてよ!」
ねっ?
「……よろしくお願いします」
「よろしい!」
じゃあここに来たのは最初から私のためだったってこと……。
こんなのもう、うんって言うしかないでしょ……。