ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「なーんでそんな落ち込んでるのむぎちゃん!」
「そうだよ!せっかく彼氏とフォークダンスできるかもしれないのに!」
ふたりしてズーンとしてたら、テンション高めに話しかけてきたふたりの女の子。
ゆるふわボブがトレードマークな明るい、寺島音(てらしま おと)ちゃんと、
ふわふわ巻き髪がめちゃくちゃかわいい、花岡香澄(はなおか かすみ)ちゃん。
「なんでそんなに楽しそうなのふたりとも……」
「え、だってイケメンが多いで有名な水篠だよ!?彼氏できるかもしんないじゃん!」
「私、鳳くんて人、めちゃくちゃ気になってるんだよね〜!あと、久遠くんと仲いい土方くんだっけ?かっこいいよね!」
「え、土方って人気あったんだ……」
「知らなかった?話すのめちゃくちゃ楽しいって人気あるんだよ!」
「鳳くんて、たしか昨日の……」
「ああ、あの優しそうな人!」
「朝日くん?は?」
たしか、辛口な那咲も認めるほどのイケメンだったよね……。
「あー、たしかにかっこいいし女の子には優しいらしいけど、いつも無表情だからなに考えてるのかわかんないし、あたしは特にかなー」
「そ、そうなんだ……」
「なんか噂によれば、たまたま髪についてたごみをとってあげたり、もの運ぶの手伝ってあげたりしたんだって。それで、された子が一目惚れして告白したら、「キミ、だれ?」って言われたんだって」
その子、水篠でもカワイイって有名な子なんだよ!
「あたしが聞いたのは、「この髪型どう?かわいい?」って聞いた子の返答にカワイイって言ったあとに、べつの子に聞かれても同じ答えだったって」
「そうそう!それでたくさんの女の子が泣かされたきたって、悪い意味で有名な人」
「へ、へえ……」
「昨日見たときはそんな感じしなかったけど……人って見かけによらないのね」
「そ、そうだね……」
でもほんとうに?
あの朝日くんが女の子を?
私は話した感じ、そうは思わなかったんだけど……。
「ちなみにだけどさ、キャンプのときのグループ編成って、どうやって決まるんだっけ?」