ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「碧」


「ん?」


「フォークダンス考えたのって、生徒会?」


「だと思う。元々合同行事を提案したのも生徒会みたいだし。ま、フォークダンスの案を出したのは100パーうちだろうけど」


「ならさ、その提案したうちが責任もって、その案取り消すべきだと思わねえ?」


「えっ、は?どういうこと?
な、なにするつもり渚……ま、まさか、」


「生徒会のやつ脅して、せめてフォークダンスだけでもなくさせる」


「わーわーわー!
落ちつけ渚ーー!それはまずい!それはまずいって!」


おまえ2年のやつら全員に殺されてもいいのか!?


とんでもないことをしようとしている自信はある。

正常に、頭が働いていないこともわかってる。


けどむぎが。

楽しくて、笑いしかないはずの行事で、泣く人がいるかもしれないなんて。


それが自分の彼女かもしれないなんて。

落ちついていられるわけない。


あんな自分の欲のことしか頭にないやつらのことなんて、考えてる余裕はない。


「じゃあ俺、生徒会室行ってくるわ」


「ちょっ、待て渚!
オレに!オレに考えがあるから!」


「なに、考えって」


「こっわ!オレ、今まじで鳥肌やばいんだけど」


「で?考えって?」


「分かったからその顔やめろって……」


一瞬目を閉じて深呼吸。


「ふぅ……やっといつもの渚に戻った……オレさ、生徒会に知り合い多いんだよ」


「それで?」


「えっと……」


もしかして、特に考えてなかったのか……?


あ。

言い淀む碧に、ふと思い立った一つの考え。
< 198 / 332 >

この作品をシェア

pagetop