ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「碧」
「ん?」
「フォークダンス考えたのって、生徒会?」
「だと思う。元々合同行事を提案したのも生徒会みたいだし。ま、フォークダンスの案を出したのは100パーうちだろうけど」
「ならさ、その提案したうちが責任もって、その案取り消すべきだと思わねえ?」
「えっ、は?どういうこと?
な、なにするつもり渚……ま、まさか、」
「生徒会のやつ脅して、せめてフォークダンスだけでもなくさせる」
「わーわーわー!
落ちつけ渚ーー!それはまずい!それはまずいって!」
おまえ2年のやつら全員に殺されてもいいのか!?
とんでもないことをしようとしている自信はある。
正常に、頭が働いていないこともわかってる。
けどむぎが。
楽しくて、笑いしかないはずの行事で、泣く人がいるかもしれないなんて。
それが自分の彼女かもしれないなんて。
落ちついていられるわけない。
あんな自分の欲のことしか頭にないやつらのことなんて、考えてる余裕はない。
「じゃあ俺、生徒会室行ってくるわ」
「ちょっ、待て渚!
オレに!オレに考えがあるから!」
「なに、考えって」
「こっわ!オレ、今まじで鳥肌やばいんだけど」
「で?考えって?」
「分かったからその顔やめろって……」
一瞬目を閉じて深呼吸。
「ふぅ……やっといつもの渚に戻った……オレさ、生徒会に知り合い多いんだよ」
「それで?」
「えっと……」
もしかして、特に考えてなかったのか……?
あ。
言い淀む碧に、ふと思い立った一つの考え。