ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
□彼女、男装×彼シャツ=♡♡
「で?最近欲求不満だと?」
「そんなストレートに言わないで!」
「だって事実じゃん」
なんやかんやあったキャンプも無事に終わり、花柳と水篠。
いつもの日常が戻ってきた。
「で、結局頼まれることになったんだ?
バスケ部の助っ人」
「うん……」
そう。朝日くんが渚にお願いしたこと。
それは、バスケ部の練習試合に、助っ人として参加してほしいということ。
「元々部員が少なくて困ってるところに、1人先輩が怪我でしばらく休むことになったんだって。それで、渚に」
「そういえば久遠、小中、バスケ部だったっけ」
「うん」
今はもうバスケはやってないけれど、小中のときはバリバリバスケ部だった渚。
あのときの渚、中学生だったけど、ユースかなんか、プロのチームに何回か誘われてて。
でも一度も話を受けることはなくて、きっぱり断ってた。
「けどそれくらいうまいなら、なんで今はやってないの?バスケの強豪校なら、もっと他に……あ、」
「……」
「なーるほど。そういうことね」
「……なんでわかるの」
「だって、久遠よ?だれでもわかるって」
「……」
「好きなバスケあきらめてでも、むぎのこと、自分のものにしたかったってことでしょ?」
「っ……」