ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
とりあえず、彼女にキスするのは決定として。
「なんでこんなことしたの?」
もう彼女に名前を呼ばれた時点で振り切れた理性を今さらぜんふ総動員させて、彼女に問いかける。
正直ほとんど意味ないけど。
「ひ、引かない?」
「うん」
「ほんとに引かない?」
「うん。絶対引かない。
だから教えて?」
ゆっくりあごを掬うように持ち上げれば、視線を右に左に彷徨わせたあとで。
濡れて揺れる瞳の中、ゆっくりその小さな唇を開いた。
「渚が、ずっとバスケの練習で忙しいの、ずっとわかってたんだけど、」
「うん」
「その、どうしても、渚に会いたくなって……」
えーと、つまり?
「俺にふれてほしかった?」
「うん……」
「俺と、めちゃめちゃキスしたかった?」
「うん……」
「1週間って言ったの、我慢できなかった?」
「渚とイチャイチャしたくて、渚不足でどうにかなりそうだった……」