ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「っ、なぎ……んっ、は、」
グッと熱い体を引き寄せて、近くにあった体育用具室の中に引き入れる。
「ふっ、あ……」
かわいい、かわいい。
たまんない。もっとふれたい。
もっとその声が聞きたい。
ずっと我慢していたそれが、彼女に1ミリでもふれた瞬間から、もうとめどなくあふれて。
「すっげえかわいい、好きだよ」
とまるなんて、できない。
ふれたい。
むぎが足りない。
ふれるたびに満たされるどころか、渇望していく底沼な感情。
「っ、ぁ、なぎ、さ……」
体育館で、いつだれが来るか分からない。
なのにお互い汗だくになってまで、こんな密着して深いキスして。
そのすべてが俺の興奮材料になる。
「っ、ん、は、だ、め……っ」
「ごめん、ちょっとだけ、だから」
ぷつりぷつりとシャツのボタンを外していく。
同時に、結んでいる髪も解けば。
「っ、ううっ……」
いつもの家スタイルの彼女が、俺のシャツを着てるみたいで。
う、わ……やば。
とろんと潤んだ目と、汗だくで火照った顔に髪が張りついたその姿。
イケナイことをしている気持ちになって、ぶわっと体が熱くなって。
もうとにかく彼女をめちゃくちゃにしたい衝動が込み上げてくるのを必死に抑え込む。
でも。
「むぎ」
「っ、だ、め……っ、私、汗かいてるから、」
もうほとんど力が入ってない、押し返してくるその小さな手をとって、指を絡めて。
「ばか。そんなの少しも気になんねーよ」
むしろそれさえも、そのはずかしがる姿にもめちゃくちゃ興奮するって、わかってんのかな。
首から鎖骨。
胸元へと口づけるたびに震えて、ビクッと跳ねる体。
「体、すげー敏感なってる……」
「ふっ、え……っ」
ほんと、めまいしてくるんだけど。
彼女がかわいすぎて、頭、回ってない。
「待って……っ」
「待たない。それにバスケしたあとって、アドレナリン出まくってめちゃくちゃ興奮してんだよ」
だから……。
「もっと、俺にむぎをちょーだい」
離れてた分、たりない分。
俺ん中、ぜんぶむぎで満たして。