ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「そういえば、プレゼントはもう用意したの?」
「し、しました!」
でも、プレゼントは……これだけは、ほんと、はずかしくてだれにも言えない。
かああっと頬が熱くなるのが自分でも分かる。
自分で考えたやつだけど、ほんと、今となってはこれでよかったのかなって思ってしまう。
ちょっと大胆すぎた?とか……。
「なんとなーく、想像できちゃったけど、あの子ならたぶん、鼻血出して喜ぶんじゃないかしら」
「は、鼻血……」
前にも似たようなこと、那咲が言ってたっけ……。
「ええ!前にも言ったかもしれないけど、ケモノだから、あの子。がんばってね」
渚がオオカミ、だなんて、もうとっくに知ってます……なんて。
今から今夜のことを考えたら、本当に緊張する。
うまくできるかな、とか。
本当に私なんかでいいのかな、とか。
けれど。
それ以上に、渚のぜんぶがほしい。
ぜんぶをあげたいって気持ちの方が大きいから。
「まずはケーキ作りがんばろうね、むぎちゃん!
作り方は教えるけど、実際に作るときはむぎちゃん1人で作ってもらうから!」
「は、はい!」
練習試合が終わるのは夕方5時。
渚には内緒で迎えに行こうかと思ってるから、それまでになんとか仕上げたい。
「さあ、最後の花嫁修業がんばるよ、むぎちゃん!」
「はい!」