ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


ドキンドキンドキン。

心臓がこれでもかってくらい、動いてる。


「渚」

「ん、おいで」


はずかしくて、タオルは巻いたまま。

そっとプールサイドに近寄れば、渚はやわらかい笑みを浮かべて、そっと両手を伸ばしてくれる。


「冷たくて気持ちいいよ」

「うん……」


「タオル、脱がすけど、いい?」


「うん……」


ゆっくりゆっくり時間をかけて開かれていくタオル。

まるでどこかナイトプールを思わせるような、ライトアップされたこのプールは。

結構明るいから、ほんとにはずかしくて。


「っ……」

「なぎ、さ……?」


羞恥からぎゅっと目を閉じていたら、ゴクッとなにかを飲み込むような音がしたあとで。


「っ……ほんっとに、」


「ひゃっ……!」


「かわいすぎだって、まじで」


低い声がしてすぐ、ガバッと正面から抱きつかれた。
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