ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「ふっ、あ、なぎ、さ……」


もう、受け止め切れないくらいの熱が一気に落ちてくる。


「うっ、ぁっ……」


冷たいプールの中のはずなのに、密着した体はとけそうなくらい熱くて。

身をよじるたびにふれあう素肌に、体がピクっと跳ねる。


「ケーキ……」


「え……?」


「ケーキ、あとで食べようと思ってたけど、ごめん。明日食べる」


そう言って私をざばりとお姫さま抱っこして抱き上げた渚は、プールから上がると、そのまま浴室へと歩いていく。


「もう、我慢できない。
このまま軽くシャワー浴びて、そのままベッド行くけど、いい?」


「うん……」


ぎゅっと首に抱きついたら、「好きだよ」って、その分また抱きしめ返してくれて、頭をなでてくれる。


渚、渚……っ。


好き……っ。

大好き……っ。


もう、泣きそうなくらい渚が愛しくて、どうにかなっちゃいそうだよ……。
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