ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


それから水着のままシャワーを浴びて。

お互いもう、我慢できないというように、そのままベッドへなだれ込んだ。


「ふっ、はぁ、」


押し倒されて、何度も何度も熱い唇が落ちてくる。


頭も体も、全身から力が抜けて。

熱い……とけそう。

そう思ったとき。


「っ……は、」


ゆっくり唇が離されて、指輪をつけた左手をそっと持ち上げられた。


「むぎ、最後の確認。ほんとに。ほんとにいいの?」


熱で濡れた瞳にまっすぐ見つめられる。


もうここまで来たっていうのに。

その瞳が早くほしいって言ってるのに。


最後の最後まで私の体を気遣ってくれる渚。

そんな優しい渚だから、私は。


「うん。覚悟はできたよ。
渚は?」


「俺も。むぎ……」


「なに?」


「愛してる」


「私も、愛してる……」


お互い目を見て笑いあったのは一瞬。

それからすぐ渚の顔が近づいてきて。


「ふっ、はぁ……っ、」


ちゅっと軽くふれたキスのあとで、また激しいキスの雨が降り注ぐ。


でも、そんな中でも。

渚も余裕なんかないはずなのに。


「ぜったい1人にさせないから」


大丈夫だよ、大好きだよって、顔中に、身体中に、甘くて優しいキスをいっぱいしてくれて。

指を絡めて、ぎゅうっと握ってくれるから。


「ふっ……あ、」


もう、渚に溺れるだけ。

ふたり、お互いの熱を分け与えるだけ。
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