ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
♡彼氏、彼女はふたりきりで
「むぎ!準備できた?」
「うんっ、なんとか」
「ほんっと、こんなとこ住んでるとかまじかよ、渚。今度一回泊まりにきていい?」
「断固拒否する」
渚の誕生日から1週間。
前々から、うちを見てみたいって言ってたらしい土方くんと、那咲が朝から遊びに来てる。
「うっわ、むぎ、超かわいい〜!」
「那咲も。
大人っぽくてほんとにきれい……」
今日は4人で花火大会に行く予定。
せっかくだし、那咲も私も浴衣を着て、ばっちりメイクまでしちゃって。
「碧たち、どんな反応するかな?」
「鼻血ふいて倒れるんじゃない?」
「それ、前にあたしが言ってやつじゃん」
なんて、ふたり顔を見合わせてクスクス笑う。
私は白地に、青と水色の金魚が描かれた涼し気な浴衣に赤の帯。
那咲は逆に、黒字に白の大きな花が描かれた浴衣で、紫の帯。
「碧!」
「渚!」
「「お待たせ!!」」