ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
わたあめ、からあげ、フリフリポテトに、はしまき。
「楽しいね、むぎ!」
「うんっ」
金魚すくいとかダーツとか、遊ぶ系もあるけれど、私たちは断然食べ物派。
だって、どれもおいしすぎて。
「碧。これ、めちゃくちゃおいしいよ」
「え、まじで?」
「口開けて?ほら、あーん」
「あー……うっわ、これめっちゃうまいな!」
「でしょでしょ!?」
「むぎ」
「ん?」
「俺にもそれ、一口ちょーだい?」
「でもこれ、甘いよ?
渚、甘いの苦手だけど、大丈夫?」
「ん、ぜんぜん平気」
「甘いの、得意になったの?」
「いや、得意じゃないけど、甘いの食べたらもっとってほしくなるじゃん?」
「なんのこと?」
「むぎのこと」
「っ、は!?」
クスッと笑った声にバッと顔をあければ、耳真っ赤、なんて笑って言って。
「むぎ、どこもかしこもくせになるくらい甘いからさ。最近甘いもの見るたび、むぎの姿思い出すんだよな」
「こっ、こんなところでなにいってんのばか!」
「予告」
「え?」
「今日の予告だよ。
さっきも家出る前に言ったじゃん。
寝かさないよって」
「だからここ、外だから!」