ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


ドーンドーン。

遠くで花火の上がる音がする。


「っ、だめ、こんな、とこ、で……」


熱い唇が、首すじから鎖骨へと落ちていくのと同時に。


「体、こんな熱くしてんのに?」

「ひっ、あっ……!」


するりと浴衣の袖の横の部分から手がすべりこんできて、肌をゆっくりなぞられる。


っ……だめ、声、出ちゃう……。


「なぎ、さ……っ」


「ん……?」


「声、出ちゃうから……」


「ん、俺の肩に顔、押しつけてていいから」


グッと後頭部を引き寄せられて渚の肩に顔がぶつかったとたん。

ふれる手が下へ下へと落ちて、ますます声が抑えられなくなる。


「なぎ、さ……っ、」


滲む視界の中、顔をあげれば、余裕なさげに眉をひそめた、とてつもなく色っぽい表情が、そこにはあって。


「静かに優しくするから。
ごめん、ふれたい」


熱い唇と、私の名前をよぶ甘い声に、今度こそ私の理性は崩れた。
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