ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
***
「特殊体質……?」
「うん……」
それから私は話し始めた。
症状が出始めたのは、中学の……渚を好きだと気づいたときからだということ。
主な症状は3つあること。
今泣いているのも、キスされて突き飛ばしたのも、それが原因だったこと。
「じゃあ、前に帰り道で俺がさわろうとしたときに離れたり、避けようとしてたのも、それが原因だったってこと……?」
「うん……」
つないだ手にぎゅっと力がこもる。
つないでいると言っても、薄い毛布越し。
『話聞いてるとき、さわってたい。
だめ、か……?』
『っ、だめじゃない、けど……っ』
『けど?』
『……』
『もしかして、これから話してくれることと関係してる?』
『うん……』
ベッドにお互い向き合って座って、私の手をとろうとした渚の手がとまる。
『ごめんな』
『えっ……』
降ってきた言葉に顔を上げたら、悔しそうに顔を歪めて、伸ばされた手がぎゅっとこぶしを作った。
『ずっとそばにいたのに、好きな子がずっと悩んでたのに、気づかない挙げ句、なにもできなかった自分が情けなさすぎて』
『っ……!!』
まさか、そう言われるなんて思ってなかった。
生まれたときから今までずっと。
一番そばにいた女に、隠しごとをされていた。
そんなの、裏切られたも当然だって考えてもいいはずなのに。
『たぶんその様子だと、結構前からって感じだよな……っ、くっそ、もっと早く、俺が……っ』
話さなかったのも、ずっと秘密にしていたのも。
気づかれないように我慢していたのも。
ぜんぶぜんぶ私が原因で、怒る相手は私のはずなのに。
渚が怒ってるのは自分自身に対して。
私を好きでいてくれたから。
そばにいてくれたから。
だから渚は、そんな泣きそうな顔で悔しがって、自分を責めて。
胸がぎゅっと、強く強く締めつけられる。
ああ、私は……。
私は渚の、なにを見ていたんだろう。
「特殊体質……?」
「うん……」
それから私は話し始めた。
症状が出始めたのは、中学の……渚を好きだと気づいたときからだということ。
主な症状は3つあること。
今泣いているのも、キスされて突き飛ばしたのも、それが原因だったこと。
「じゃあ、前に帰り道で俺がさわろうとしたときに離れたり、避けようとしてたのも、それが原因だったってこと……?」
「うん……」
つないだ手にぎゅっと力がこもる。
つないでいると言っても、薄い毛布越し。
『話聞いてるとき、さわってたい。
だめ、か……?』
『っ、だめじゃない、けど……っ』
『けど?』
『……』
『もしかして、これから話してくれることと関係してる?』
『うん……』
ベッドにお互い向き合って座って、私の手をとろうとした渚の手がとまる。
『ごめんな』
『えっ……』
降ってきた言葉に顔を上げたら、悔しそうに顔を歪めて、伸ばされた手がぎゅっとこぶしを作った。
『ずっとそばにいたのに、好きな子がずっと悩んでたのに、気づかない挙げ句、なにもできなかった自分が情けなさすぎて』
『っ……!!』
まさか、そう言われるなんて思ってなかった。
生まれたときから今までずっと。
一番そばにいた女に、隠しごとをされていた。
そんなの、裏切られたも当然だって考えてもいいはずなのに。
『たぶんその様子だと、結構前からって感じだよな……っ、くっそ、もっと早く、俺が……っ』
話さなかったのも、ずっと秘密にしていたのも。
気づかれないように我慢していたのも。
ぜんぶぜんぶ私が原因で、怒る相手は私のはずなのに。
渚が怒ってるのは自分自身に対して。
私を好きでいてくれたから。
そばにいてくれたから。
だから渚は、そんな泣きそうな顔で悔しがって、自分を責めて。
胸がぎゅっと、強く強く締めつけられる。
ああ、私は……。
私は渚の、なにを見ていたんだろう。