ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
□彼女、溺れる極上の愛
【渚side】
幸せすぎる……。
朝、目が覚めて横を見たとき。
すぐふれられる距離に大好きな彼女がいることにぼやけていた頭がすぐに覚醒する。
むぎと付き合って婚約したこと。
今でも夢、見てるみたいだ。
付き合う前も十分幸せだったけど、隣で笑うのを見るたびに、俺の名前をよんでくれるたびに。
少しいじわるするだけで、顔を赤くしてはずかしそうにするのを見るたびに。
幼なじみじゃたりない。
たりない、たりない、たりない。
ほしい、むぎがほしい。
ぜんぶを俺のものにしたい。
数えきれないくらい好きだと、ほしいと渇望していた。
むぎへの気持ちを自覚し始めたころから、自分が重すぎることはわかっていた。
知られたとき、引かれるんじゃないかってどこか臆病になって、その一歩がなかなか踏み出せなくて。
だけど膨れ上がる想いは限界を超えて、そろそろ潮時かと思っていたとき。
今から1ヶ月と少し前、やっと届いた。
勇気出して告白して、少し強引ではあったけど、むぎの秘密を知ることができて。
大好きな彼女とふたりぐらしって、こんなに幸せなことなんだって、朝から頬がゆるんでしまう。
「すー……」
よく、寝てるな……。
俺の隣でちょっぴりあどけない顔をして、気持ちよさそうに眠る彼女。
まつげ長……肌、白。
くっそかわいい、さわりたい。
思わずその頬に手をのばせば。
「ん……っ」
ほら、無意識。
昨日言ったことはまちがいじゃない。