俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜

俺の彼女の出会いについて。

 まだ五月だというのにギラギラと暑さを放つ太陽。都会のアスファルト地獄のせいで日差しの照り返しが強く、沢山の建物やビルに遮られ風も少ない。
 じんわりと額に汗をかきながら高林隆一(たかばやし りゅういち)はいつも仕事で着ているグレーのスーツと白シャツ、水色のストライプ柄のネクタイを身に纏い都内のホテルに父親の高林隆蔵(たかばやし りゅうぞう)と歩いて向かっていた。

「親父、本当に今回だけだからな。見合いなんてしたくねぇんだからもう変な約束してくんなよ?」

「悪い悪い、つい飲み屋で仲良くなった人の娘とお見合いさせようって盛り上がっちゃってさ〜まぁ、会ってみて素敵な人だったらいいじゃねぇか、な?」

 自分の親ながらに軽いフットワークに関心さえする。
 駅から歩いて十分もしない都内のホテルでの待ち合わせらしい。ホテル四階のラウンジに入ると既に利用している人達がチラホラ。最近ではかしこまったお見合いよりもこういったラウンジでの軽い感じのお見合いも流行っているそうだ。お見合いと思える様子の人達もいる。このホテルのラウンジは向こうの女性からの提案らしく、入ってすぐ目の前にある大きな窓からからは東京のパノラマを見渡せる眺望の良さと、開放感。全体的にグレーやブラックの色で統一されたラウンジが都会的でラグジュアリーな雰囲気を漂わせる。ふかふかのダークグレーのソファーに父親と並んで腰を下ろす。ぐるりと見渡してもそれらしき人が見当たらない。
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