俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
「えぇ!? ぜんっぜん知らなかった……うちの会社結構大きいから関わらない部署とか結構あるもんね」

 私と隆ちゃんが勤めているミナモト株式会社は歯科用品店の本社だ。関東を中心に各県に営業所が十五カ所ある。
 営業部は歯科医院に医療品や薬剤を納品するのに飛び回るので経費としてよく領収書を持ってくる。なので営業の人達の顔は大体覚えているが、人事部は基本会うことがない。部署の階も経理部は三階、人事部は五階にある。

「人事部っても俺は各県の担当だから本社の人間ってあんまり記憶してないんだよな……まさか知らず知らずに同じ会社の人と結婚するなんて、すげぇとしか言いようがないな」

「だ、だね。じゃあ結婚するって事も上司に一緒に言いに行った方がいいんだよね?」

「社内結婚した人達は皆んなそうしてるしな、籍入れる直前にでも言えばいいんじゃないかな。てかとりあえず家出よう」

 手元の腕時計を見ると八時五分。八時半までに出社しなければならないので、急いでパンプスを履き二人で家を出た。
< 58 / 186 >

この作品をシェア

pagetop