俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
 二人っきりでの初めてのデートは映画館。
 彼女の見たいと言っていた少女漫画原作の映画を観ることにした。
 白いブラウス、フワフワとピンクのプリーツスカートの裾を風に靡かせながらやって来た彼女はそれこそ少女漫画に出てきそうなヒロインのように可憐で一瞬で視線を奪われる。

「お久しぶりです」

「ふふ、今日は宜しくお願いします」

 二人の会話は何処となくぎこちなくて、それでもそのぎこちなさが、こそばゆくて歯痒くて、楽しい。
 映画館。
 隣に座っている彼女。
 肩がぶつかりそうな距離。
 ふと横を見れば食い入るように映画に集中している彼女の凛とした横顔と真剣な眼差し。
 俺一人が舞い上がっているようで恥ずかしくなって、大きなスクリーンに視線を戻した。
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