すべてが始まる夜に
「ねっ、寝顔って……。もしかして部長、私が寝てた時、もう起きてたんですか?」

「ああ。何で白石が俺の部屋で寝てるんだ?と思って見てた」

「そっ、そしたらどうして起こしてくれなかったんですか!」

「気持ちよさそうに寝ているやつを起こすなんて、そんな人間は非道だろ」

「そういう問題じゃないです!」

何か恥ずかしいことでもあるのか、真っ赤になって頬に手を当てている。

確かに可愛い寝顔だったんだが……。
俺、何かまずいこと言ってるのか?
寝顔が可愛いなんて言ってはいけなかったのか?

拗ねている理由がよく分からないが、これ以上何か言ってまた怒らせてはまずいと思い、俺は話を変えた。

「せっかく作ったうどんが伸びてしまいそうだから、そろそろ食べてもいいか?」

キッチンからコップと箸を2つずつ取り出し、テーブルの上に置く。

「あっ、すみません。そうですよね、おうどんが伸びちゃいますよね。部長、片手鍋の方がおうどんです。そして土鍋の方が雑炊です。雑炊は夜にでも食べてください。どうせ今おうどん食べても、夜はカップ麺にするつもりですよね?」

えっ? うどんと雑炊?

白石の言葉に俺は驚きながら鍋の蓋を開けた。
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